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新たな反セム主義
ダニエル・パイプス http://www.danielpipes.org/12508/ Translation of the original text: The New Anti-Semitism 「変わりゆく世界における反セム主義と偏見に関する世界会議」 (於:ブラッセル 世界ユダヤ会議 ジョナサン・R・コーエン(編)) 背景 ムスリム世界における反セム主義の理解については、二つの大きく異なった方法がある。一つは、宗教の固定的な部分の積年だと考えるものだ。二つ目は、キリスト教由来、欧州由来の輸入だと見るものだ。 第一の見解は、私がその主題に関する著者のロナルド・ネットラーと関連づけるものだが、ユダヤ人についてのムスリム教義は非常に否定的だったし否定的であると論じる。クルアーンとイスラーム教のその他の霊感の源泉に遡れば、ユダヤ人に対する言及の多くが極端に否定的だとわかる。彼はまた記しているのだが、これらのコメントはユダヤ人に対する実際の扱いよりもっと否定的であり、ユダヤ人の生活のもっと我慢できる環境と宗教教義におけるあまり寛容ではない言葉の間で緊張があったという。 これはその宗教のまさに起源に遡る。ユダヤ人に対するクリスチャンの困難とユダヤ人に対するムスリムの困難の間には、幾らか併行関係がある。預言者であるモハンメド(ママ)は、生涯でユダヤ人と衝突し、これが、イスラームの大敵であるユダヤ人という感覚へと導いた。だが、キリスト教とは対照的に、イスラームはユダヤ人に強迫観念はなかった。過去千年期には、キリスト教において果たしたのとほぼ同等の、非常に大きな役割をユダヤ人が持った時代はなかった。それは強迫観念ではなく、冷たくさり気ない軽蔑だった。ユダヤ人は、強さなしの、潜在能力なしの人々、あまり興味のない人々として、初期の不完全な宗教の名残だと見られた。もし、ムスリム世界の中で劣位の場所を受容したならば、概してユダヤ人は許容された。しかしながら、もしユダヤ人が権力に対して主張したならば、その場合、これは怪しからぬ、受け入れ難いことだと思われた。 この最初の見解が言外に含むところは、その後、イスラームにおいて反セム主義が深く浸透していて、文化内で共鳴しているということである。 第二の見解は、私がバーナード・ルイスと関連づけるものだが、反セム主義は本質的に欧州からの輸入であると考える。イスラームは、ユダヤ人の力を誇大化するというキリスト教伝統に欠けていて、ただ恐怖よりもむしろ軽蔑の結果だからだ。ユダヤ人はイスラームにおいて特に格別な重要性を持たなかった。ムスリム世界におけるユダヤ人に対する現代の強迫観念は、欧州から生じる最近の現象である。ちょうど、欧州からフォークやナイフや飛行機や現代医学についてムスリムが学んだように、欧州からユダヤ人という概念をムスリムは受け取ったのだ。 この学派は記している。高利貸しのユダヤ人のイメージ、血の中傷、分かれたユダヤ民族や世界を制御するユダヤ人の陰謀という概念―これらすべては明らかに欧州源泉から生じている。 この第二の見解が言外に含むところは、それ故に、反ユダヤ主義は割に表面的なものだということである。イスラエルや他のユダヤ人に対して用いられるための道具や器具である。アラブ・イスラエル紛争の一部として、特に1950年代のエジプトのガマール・アブドゥル・ナーセルとの紛争で持ち上がり、有用である限りは続くであろう。 これらのどちらが正しいか?どちらもだが、恐らく第二の方がもっと正しいであろう。問題の核心に触れている。その現象は、土着というより輸入されたものだ。そして私は、最後の世代あるいは反流が反セム的なテーマに囲まれてきたことや、これらの幾つかが固着するだろうことを認識しつつも、変化の可能性について幾らか楽天的である。というのは、西洋の反セム主義とは対照的に、ムスリム世界で見出されるものは非個人的だからだ。ユダヤ人と接触を持つムスリムはほとんどいない。そして、強調されるものは、個人的な憎しみより、かなり陰謀的な次元で、もっと大きく仮定的で抽象的な政治次元である。 現在の傾向 幾らか重要な肯定的かつ否定的な傾向がある。肯定的な側面では、反セム主義の主要な源泉の幾つかは静かだということだ。ソヴィエト連邦の崩壊に伴い、モスクワから出てきた憎悪という広漠としたプロパガンダ機構が沈黙させられた。それ以上、ソヴィエト路線を採用するムスリム諸国にかかる圧力はない。 それに加えて、石油業界における揉め事がある。リビア人、イラン人、サウジ人は1970年代に持っていた手段を欠いており、もっと最近でも、世界中でユダヤ人憎悪をぶちまける手段に欠けている。 砂漠の嵐(訳者注:米国とその同盟軍がイラクを破った1991年の地上戦)と過去数年のアメリカの傑出もまた重要であった。政府は反セム主義の拡大を低下させている。ところで、反セム主義は通例、反米主義を含む。特にクウェート人とサウジ人は、このプロパガンダを控えてきた。和平会談は現在、イスラエルからテーブルを囲む11ヶ国も伴い、進行中である。それで、国家次元では肯定的な方向における重要な変化がある。 同時に、否定的な展開もまた強い。国家次元ではない。もっと文化的である。先に言及した反セム主義が固有になっている過程ともっと関係がある。ユダヤ人についての陰謀主義、ユダヤ人が世界を乗っ取ろうとしているという概念は、今までよりもっと広く聞かれるようになっている。 要するに私が論じたいのは、反セム主義は、国家次元やトップでは押され気味であるものの、大衆レベルと文化や集団や小組織のレベルでは増しているということだ。 将来 二つのテーマを扱おうと思う。イスラエルにとって、そして世界のユダヤ民族にとってのムスリムの反セム主義の意味合いである。 イスラエルにとって、それは混合状態である。ムスリム諸国があまり関与しなくなっているという事実は、アラブ諸国の指導者達が、アラブ・イスラエル紛争の解決に対して、より従順であることを意味する。しかしながら同時に、集団や個人や文化要素がもっと否定的であり、それが事実上、パレスチナ人が今まで以上に反セム的になっていることを意味するならば、PLOがひどく反シオニストだったことと反セム主義という重い負担を確かに持ったのだ。しかし、PLOは公には関与していない。明らかに反セム的で、明らかにその特徴として『シオン賢者の議定書』に言及している、ムスリム原理主義のパレスチナ運動であるハマスによって、PLOは幾らか脇に押しのけられている。決してPLOがこの点でよいと私は言っているのではないが、ハマスよりは遙かにもっと抑制されている。 そこで逆説があるのだ。再び、反セム主義は、国家次元では徐々に消滅しつつあるものの、個人レベルやパレスチナ人の次元では増加している。私にとって、イスラエルが国家次元で取引する可能性が増えたというこの点は、一方で、苦境に耐え、パレスチナ人の態度や希望や夢を忍耐しなければならないということだ。世界のユダヤ民族にとって、ムスリムの反セム主義は増加中の問題である。そして、大部分において、これは西洋におけるこれまでになく増加中のムスリム人口と関係がある。フランスには400万人近くのムスリムがいる。ドイツは約200万人である。英国と米国には150万人いる。イタリアはほぼ100万人である。ベルギーには凡そ50万人がいる。 西洋に移住するか、改宗するか、西洋で暮らすムスリムは、他のムスリム世界や本国のムスリムとあまり変わらない。世俗派や原理主義者を共有しているが、原理主義者は最も反セム的なムスリムで、西洋で不釣り合いに強力である。部分的には、彼らが組織化されているからであり、部分的には、世俗的なムスリムが他のことをし続けて、ムスリム共同体内部に固着していないからである。また、部分的には、ほとんど常に原理主義者に行く中東からの支援のためである。イラン人、リビア人、サウジ人は、今や何年間も、最も攻撃的で過激な原理主義集団を支援してきた。そして、定義上、これらもまた反セム的集団である。 これらの原理主義者は、さまざまな方法で反セム主義を促進する。アハメド・アラミという名の男は、スウェーデンのラジオ・イスラームという番組でヒトラーの『我が闘争』からの抜粋を放送し、その結果、スウェーデンの刑務所で6ヶ月を過ごした。米国では、ルイス・ファラカンが、ユダヤ教を野卑な宗教と呼んだ。これらは、確かに極端な事例だが、西洋の他の場所では見出されない、あからさまな反セム主義に関して語っている人々である。ユダヤ系の繁栄にとって潜在的に深刻な脅威を与える人々なのだ。そういう人々の人数は増えている。そして原理主義者は、その談話を占有し続けている。 その後の私のメッセージは、究極のところ、中東よりも西洋で反セム主義がより深刻だということである。キリスト教世界は、ムスリム世界には見られなかった反セム主義に共鳴している。今日のムスリム原理主義者達は、最も力強く露骨な反ユダヤである。彼らは、西洋における反セム主義に貢献しており、その数は増加している。 Related Topics: Antisemitism, Jews and Judaism, Muslims in the West, Radical Islam receive the latest by email: subscribe to daniel pipes' free mailing list This text may be reposted or forwarded so long as it is presented as an integral whole with complete and accurate information provided about its author, date, place of publication, and original URL. |
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